【お困りごと図鑑】知って得する最新税制度 その2 2019/02/22

【お困りごと図鑑】知って得する最新税制度 その2
です。

では前回に続き「個人事業主の相続・贈与税に優遇措置」をご紹介します。

個人で事業をされている方やその後継者の皆さんにとっては、「事業承継税制のさらなる拡充」はとても大きな改正ポイントになるはずです。どういうことかというと、個人事業主の保有する事業用資産を後継者に相続あるいは贈与する場合、相続税や贈与税が発生します。改正によってこの納税を猶予し、さらに一定の要件を満たすことでそれらを免除する特例が創設されます。実はこうした特例は、昨年度の税制改正によって法人の株式を承継する場合にのみ認められるようになりました。今回はそれの個人版という位置付けということになります。
相続や贈与税の納税が猶予されるばかりか、場合によっては免除される特別待遇の特例ですので、当然ながら適用要件はかなり厳しいです。以下にいくつかポイントを抜粋します。

①アパート・マンション経営などの不動産賃貸業は対象外
②小規模宅地等の減額特例との併用は不可
③贈与税の納税猶予の対象は成年限定(2022年4月1日以降は18歳以上)
④対象は平成31年1月1日からの10年間で発生する相続税及び贈与税
⑤あらかじめ所在都道府県に対して、認定支援機関の指導やアドバイスを受けて作成した「承継計画」の提出が必要
⑥対象となる特定事業用資産は、400㎡以下の土地と床面積800㎡以下の建物、および青色申告決算書に添付する貸借対照表に記載されている建物以外の事業用減価償却資産の3つに限定される。
⑦担保が必要
⑧3年ごとに、税務署に「継続届出書」の提出が必要
⑨後継者がその事業を止めた場合や、特定事業用資産を譲渡した場合は、特例が無効となり、利子税と合わせて定められた税額を納付しなければならない。

他にもいくつかポイントがありますが、重要なところだけを抜き出すと以上のようになります。これだけを見ても、要件がいかに厳しいかが分かるかと思います。⑧⑨あたりの要件をみると、この特例を利用して一時的に税金対策するのは無理のようです。あくまでも継続的に事業を続ける気のある承継者のための優遇措置だと考えられます。

この他にも、10月に予定されている消費税増税を意識した「住宅ローンの控除期間3年間延長」や「自動車税の減税」、「配偶者居住圏の相続税評価方法の明確化」など、みなさんの生活に関わる改正項目はいくつもあります。
税金対策に関するお悩みがある方は、当社までお気軽にご相談くださいませ。

「住生活新聞 2019.02より抜粋」